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濵野 杜輝

GAPA代表

ロンドン在住のオペラ歌手、ボイストレーナー。東京藝術大学声楽科卒業、同大学大学院をイギリスの歌曲についての論文を出して修了。ギルドホール音楽演劇学校へフルスカラシップで留学し、Distinction (最高成績)で修了。その後、王立スコットランド音楽院のアレキサンダー・ギブソン・オペラスクールに特待生として進学した。現在はロンドンに戻り多数のカンパニーの公演に参加している。

講師: テキスト

私はオペラを勉強するため、東京、ロンドン、グラスゴーで学び、様々な教師の指導を受けてきました。またそれと同時に、たくさんの学生たちが歌に立ち向かい奮闘する様子を目の当たりにしてきました。そして私自身彼らに混じって悪戦苦闘する中で、常にトライアンドエラーを繰り返し、最善のメソッドを探し続けてきました。


オペラという伝統的な芸術を学ぶ傍ら、私の頭の中に常に存在しているのは「日本人」であることと、「現代」に生きているということです。こうした思いが募り、2020年にはクラシック・クロスオーバーグループ「Gen・Rin」を設立し活動をはじめました。ミュージカル歌手とオペラ歌手、映像音楽作曲家とクラシック作曲家の4人で構成され、それぞれ違うジャンルの音楽家が共演する珍しいグループです。オペラというジャンルを飛び越えることで、私のメソッドはさらに独自なものへと進化しました。


クロスオーバーミュージックである「ミュージカル」の歌唱において、私のメソッドはまさに最適なものであると言えるでしょう。まず、慣習的なボイストレーニングに加え、音声学や解剖学等の理論を組み合わせてそれぞれの生徒が持っている声の特徴やクセに応じて必要な練習方法を開発していくところに、私のレッスンの大きな特徴があります。


ミュージカル歌手の方々はいろいろなバッググラウンドを持っています。音大に行って声楽を学んだ人もいれば、音楽について体系的に学ぶ機会を持ってこなかった方もいます。それぞれのバックグラウンドや個性を尊重し、わかりやすい説明とシンプルな実践を基本にして指導を行なっていきます。指導を受ける歌手本人がエクササイズの効果や目的を理解し自覚していく機会を多く作ることで、再現性があり応用の効くテクニックを習得するお手伝いをします。


しかし、現代において理論に基づいたボイストレーニングは珍しいものではありません。先人達の研究の成果は私たちに多大な恩恵をもたらしてくれます。その一方で、時に私たちは「歌う」という本質から離れ、理論やテクニックの実践そのものに執着してしまうことがあります。理論や体系的な情報に偏りすぎたトレーニングは、私たちの思考や行為そのものを変えてしまい、歌うことの喜びを奪ってしまうというのが私の意見です。


近年、私自身にも起こったこうした悩みを乗り越えるため、歌唱法以外にも身体論について研究してきました。音楽家の間でもよく知られるアレクサンダー・テクニークや武道の修練を通して、歌手の演奏に必要な精神状態やその訓練方法についても考えてきました。「歌う」ということは、訓練を要するもので決して簡単なことではありません。しかし、歌手の精神や身体を自由な状態へと導きながら、訓練を重ねることで「歌う」という行為は至極シンプルなものになり得るのです。


そうした鍛錬の先に、息をするように自由に歌う喜びが待っているのです。また、私は誰もしもが唯一無二の人生と肉体の中に、隠れた特別な才能を宿していると信じています。私のメソッドを通して、自由な精神と確固たるテクニックを身に付け、自らの才能を見つけ出し育てることのできる自立したアーティストへと成長できることを願っています。

講師: テキスト
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藤川 大晃

作曲家。東京藝術大学音楽学部作曲科卒業、同大学院修士課程修了。現在ハンブルク音楽演劇大学で研鑽を積んでいる。

GAPA副代表

講師: テキスト

作曲家は常に過去の音楽を参照しつつ、その時代の感性と掛け合わせオリジナルの楽曲を産み出していきます。つまり、比較的新しいジャンルと言えるミュージカルであっても、その内容は長い歴史と伝統に支えられています。例えば19世紀のヨーロッパにおいて、オペラやクラシック音楽で使われてきた手法や音楽語法はミュージカルのなかにも息づいており、それらの理論を応用して分析する事ができます。私の指導ではまず、こうしたアプローチから取り組む楽曲の音楽史的な立ち位置や繋がり、そして音楽的な語法や構成を分析し理解していくことから始まります。分析を通して、作曲家の「意図」を探っていくのです。例えば同じメロディーであってもリズムやテンポの違いのなかに作曲家の感じたキャラクターの感情や表情を想像したり、和声や伴奏の違いを捉えてそのシーンの場所や雰囲気の設定を考えてみたりします。そうした音楽的なアイデアを歌唱表現に生かしていくことで、より豊かで説得力のある演奏を実現することができます。


私の個人的なバックグラウンドの話で言えば、ここ数年クラシック音楽(近代西洋音楽)の作曲技法の研究とともに、室町時代より続く日本を代表する音楽舞台劇である「能」について理論的かつ実践的に研究しつづけてきました。能の研究は、その極めて深遠な世界のみならず、「演奏」や「作曲」など音楽に関する行為自体をも再考するきっかけを私に与えてくれました。さらには世界中の様々な音楽や文化へのアプローチの方法を、(クラシック音楽しか知らなかった私に)教えてくれた存在でもあります。ここ近年の私の多様な音楽活動を支えているのは能の研究そのものであり、器楽作品や歌曲作品はもちろん、譜面の存在しないオーディオ作品やクラシック・クロスオーバーグループであるGen • Rinの作品に至ってはその制作過程にまで影響しています。


能に関してその由来はいまいちはっきりしないところがあるものの、それまでに存在した民間芸能、当時流行していた流行歌や舞踊を取り入れるなど、あらゆるジャンルの芸能を舞台劇に昇華させたものです。人種の坩堝であるアメリカを中心に発展したミュージカルにあっても、クラシック音楽はもちろん、その他たくさんの音楽ジャンル(場合によっては音楽に限らず!)を取り入れた舞台劇であるため、多様な語法に関わるアプローチの方法や演劇論にいたっても共通点や参照すべきポイントは大いにあると思います。

上の例ではミュージカルにおける「クラシック音楽」的な要素に基づいたアプローチを示しましたが、作品に応じてそのアプローチを臨機応変に変えていくこと、同時にどのようなアプローチが可能なのかを考えていくことも重要になってくることでしょう。多様なジャンルにおける作曲や能の研究を通して、世界の多様な音楽に多様なアプローチがなされていることを作曲家・研究者として経験している私の楽曲分析法は、まさにこうした音楽ジャンルの坩堝といえるこのジャンルに最適と言えます。


分析を通して個々の曲や作品を知り、さらには多様な文化を知っていくことは、演奏家としての自分を客観視することにつながります。そうして編み出した極限の表現を血と肉とすることで、演奏を通して作品と一体になるような喜びを探して行って欲しいと思っています。

講師: テキスト
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